ビットコイン、暗号通貨、ICOなどの話題が出ない日はない世の中になってきた。先日は、JP MorganのCEOが、「ビットコインは詐欺」発言があり、話題となった。
この記事に関してNews Picksなどを見ていると、賛否両論あるが、それなりの知識人も「ポジショントーク」だとか「理解していない」「時代遅れ」といった否定的な意見が散見される。
金融機関出身者としては、発言の内容に違和感はなく、むしろ、足元のビットコイン・暗号通貨ブームにあやかっている「知識人」の方が、理解していない部分が多いように思ってならない。
よく言われるビットコイン・暗号通貨についての誤解を順次、紐解いていきたい。
誤解その1: 非常に効率的な決済手段である
暗号通貨は非常に効率的な決済システムであり、その結果として送金手数料が極めて低い。と言われる。本当だろうか?
従来型の金融の仕組みと、暗号通貨を支えるブロックチェーン+分散型台帳の仕組みを比べてみよう。
ぱっと見ただけでも、なんだか、ブロックチェーンの方がぐちゃぐちゃしてますね。。
ステップごとに、比べてみたいと思います。
決済に用いられるコンピューターのリソース
従来型: 中央銀行のサーバー+銀行のサーバー (国内で数十~数百台。グローバルで数千台)
暗号通貨: 世界中のサーバー (何千台~数万台)
⇒ 従来型の方が、使用するリソースが少なくて済みます。
台帳に記録する情報
従来型: 中央の台帳に記帳されている
暗号通貨: 全参加コンピューターに同じ情報が記帳されている
⇒ 従来型の方が、無駄な作業の重複がありません。
決済処理の方法
従来型: 必要な事項を書き込む作業だけ
暗号通貨: 必要な情報の書き込みのうえで、Proof of Workという作業のために、膨大な暗号解読的な計算が必要
⇒ 従来型の方が、無駄な作業をしていません
結論: 従来型の方が効率はいい
システムの設計、効率性という観点では、やはり圧倒的に従来型の「中央銀行、中央集権システム」が効率的だと言えます。
ではなぜ、決済手数料はビットコインの方が安いの?
ビットコインの送金手数料は確かに、非常に安く見えます。その理由は、以下の2つです。
1.本当は安くはない
確かに、決済コストは一見安いように見えるのですが、実際はマイニング業者が収益性を見込める量の新規通貨発行がなされており、全体的には価値は毀損しています。
マイニング業者の報酬は、Proof of Workのマイニング報酬と、決済手数料で構成されていますが、将来的には、ビットコインの場合、新規通貨の発行量は減少していきますので、その場合、決済手数料が現状の水準で維持できるかは疑問です。
2.銀行の手数料が高すぎる
上記の効率性の比較はあくまでも、同じような条件で決済システムを構築したら、、という前提に立っています。現在の銀行は、決済システム以外に、膨大な非効率な事務を手作業に近いレベルで行っており、これらの人件費が、送金手数料に乗ってきているのが現実です。ほぼ全自動の決済専門銀行を作れば、かなりの低コストでの資金決済ができると思います。
(誤解その2 に続く)
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[…] (第1弾はこちらを参照⇒ 「誤解その1: 非常に効率的な決済手段である」) […]