日経「AIで生活習慣病予防 経産省、健保データ活用」

本日の日経新聞に、「AIで生活習慣病予防 経産省、健保データ活用」として、AIを活用した健康管理システムの議論が載っていた。

人工知能(AI)やビッグデータ、予防医学は今、とてもホットな話題で、なんだかとてもいいアイデアに思われるが、少し立ち止まって冷静に考えてみた。

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経産省の唱えるシステム

日経新聞の記事によると、AIを使って、患者予備軍に生活指導をメール等で送るというコンセプトらしい。

経済産業省は人工知能(AI)による予防医療システムの実用化に乗り出す。糖尿病や高血圧の患者の運動習慣や食事の嗜好などをビッグデータとして集め、患者予備軍に自動的にメールなどでこまめに改善策などを助言できるようにする。

日本経済新聞 2017年6月12日付  

「AI」、「ビッグデータ」、「予防医療」というバズワードが並んでおり、ススんだ、未来を感じさせるコンセプトだ

システムを導入した企業の従業員は、定期健康診断で「要経過観察」の注意を受けた場合などに活用。スマートフォン(スマホ)やパソコン、無線通信ができる血圧計などを介して生活習慣をシステムに入力すれば、AIを通じて「運動しましょう」「塩分は控えめにしてください」といった助言を1~数日に1回程度メールで受け取る。

日本経済新聞 2017年6月12日付  

つまり、

健康診断等を受ける

 ↓

 データをシステムに提供する

 ↓

AIが解析

 ↓

受診者フィードバック

 ↓

メールでもこまめな指導

ということらしい。

 

このシステムの疑問点

この記事を読む限り、経産省のコンセプトは疑問だらけである

「AI」「ビッグデータ」が必要か?

結局、AIは何をしてくれるのだろう??

健康診断を受け、問題点がある人は、結果レポートに注意なり警告の表示が出るし、人間ドックであれば医師より生活習慣についての指摘を受けているはずである。それであれば、AIではなく、現行の基準値をベースにした簡単なアルゴリズムで十分だ。

  • 世の中の健康診断の結果レポートは、そんなにポンコツなんだろうか?
  • 世の中のお医者さんは、そんなにうっかりさんが多いのだろうか??

疑問である。

メールでのこまめな指導は意味があるのか?

健康診断で指摘を受けた人が、結局運動できなかったり、塩分摂りすぎたりしてしまうのは、「うっかり忘れてしまう」からではないだろう。

分かっちゃいるけどやめられないってことだと思う。

そういう人たちに、1日何度も「運動してますか?」「塩分控えてください」なんて送ったら、うんざりして、すぐに見なくなるか、自動ゴミ箱行きに設定してしまう。

それとも、そんなにうっかりさんだらけなんだろうか?

 

誰のためのシステムなのか?

上記のように考えていくと、医療費の削減や個人の疾病予防という観点が強調されているが、以下のような背景が妥当な理由だろう。

  • 医療データを吸い上げビッグデータ化する
  • AI、ヘルスケア関連の事業者に事業の機会を与える

確かに、よく考えれば、管轄の厚生労働省ではなくて経済産業省が主導というの不思議である。

同様のサービスを行っているのは、ライザップやFINCというベンチャーがやっているが、こういう事業者が公式業者として活動するのだろうか。

よく見ると

 従業員が望めば、医師や看護師、管理栄養士がAIの分析内容を参考にして助言することも想定する。今年度中に開発を終え、同機構を通じて来年度から企業の健保などに有料で導入を促す。

日本経済新聞 2017年6月12日付

とあるので、既にこのような動きがあり、政府のお墨付きを得て活動をするのだろうか。

 

僕ならばこうやる

テクノロジーと予防医療を組み合わせるという考えはとてもいいと思うが、上記の手法だと方向性が歪んでいる気がしている。

だれも、病気にはなりたくないのだが、個々人の「長期的なゴール(病気の予防)」と「短期的なゴール(目の前の美味しい食事)」の方向性がずれているからによるものだ。

なので、僕がやるのであれば、以下の通り

 

短期的な結果に対して報酬を与える仕組みづくり

プッシュ型の指導メールではなく、短期的な結果が「見える」ようにする

  • 課題の継続に対しての報酬を与える
  • 第三者のチェックが入るようにする

具体的には、

  • 毎日計測、毎日報告すると(仮に結果が伴ってなくても)ポイントが貯まる、褒められる
  • 課題を継続的にクリアすると、ポイントが貯まる、褒められる
  • 進捗状況を身近な第三者にチェックしてもらえるようにする
  • また、食事などは第3者により入力してもらう仕組みにする(家なら奥さん、外食なら同僚等)

ゲーム的な感覚で、継続するような仕組みを考えるのは面白そうだ

 

行政の打つべき手

一定基準を満たしたプログラムの認証

行政は、健康データにより達成するべき課題を定義して、それをトラックできる器具・プログラムを認証する

もちろんすべての疾病に対して適用はできないだろうが、「運動不足」「食事」「睡眠」「タバコ」「お酒」などの主要項目だけでも、データとクリアすべき基準を定義すればなんか面白い

それらの基準を楽しくクリアできるようなアプリなりゲームなりがたくさん出てくると面白いと思う

 

必要なアイテムの購入を支援

また、健康診断の結果や認証プログラムでのポイントによって、上記の認証された器具やプログラムを購入の際の補助金を交付

  • 運動必要な人にはwifi接続可能な活動量計の購入
  • 肥満な人にはwifi接続可能な体脂肪計の購入
  • 新しいヘルスケアアプリの購入

だれか、こういうものを作ってくれないだろうか・・・

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